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地方創生

地方創生といっても色んなことを含んでいる。何もかもいっしょにして地方創生なのだ。だから、どんなことが効果があるのか、問題の本質すら見失っているケースも多い。文字通り地方自治体は、良く調べてみると3つの問題点を抱えている。1つは人口減少、2つ目は財政問題、そして3つ目は地域振興である。自治体によっては人口減少に歯止めをかけようと、子育て、医療、教育について、過剰ともいえる手厚い助成を行っている。しかし、人口減少問題は地域だけの問題ではなく全国レベルの問題なのだ。それは若い女性の働き方や将来への展望、そして生活のゆとり等が出生率の低下となって答えを出している、とも言えよう。従って、国をあげての対策が進まないと、地域だけの対策では小手先の解決策にしかならず、それは問題の本質に迫るものではない。これまでの考え方の延長線では、地方自治体の効果ある人口減少対策は存在しない、と言っても過言ではない。地方の人口が減少する機会はライフサイクルの節目で起こる。すなわち、進学、就職する時期に最も多くの人口が減少する。だから、プラチナプランとか言って老人を集めてもほとんど効果は無いのだ。

 

 2つ目の財政健全化は、人口減少に伴いじわじわと問題化するが、主因である人口減少を止められないから、せいぜいコストを削り、人員を削減し、住民とともに痛みを伴う縮小均衡を取り合えず目指すしかない。これは一般企業も同様で、よく「聖域なきコスト削減」などと言って不況時に取られる戦略で、広告宣伝費の削減から従業員のボーナスカット、人員削減へと進むケースが多い。地方財政は、一般会計のほか、健康保険、水道、病院等の会計で赤字となる場合があり、行き詰った場合には民間の力を借りることが有効となりそうだ。あるいは、周辺の自治体と運営を統合し一体運営で効率化するしかないだろう。

 

 3つ目の地域振興はなかなかむづかしい課題だ。成功例があり、一つのパターンがあるそうだ。それは地域住民との話し合いを行い、住民の合意を得て町中でアイディアを出し取り組むスキームだ。それぞれの地域の特徴があるから、どれが正解ということはない。ただし、マーケティングが不得手なので、供給側の理屈だけが先行し失敗する例も多いらしい。

 

企業誘致を望んではいるものの、市場へのアクセス、良質な労働力、投資資金調達等の必要要件が整わ無ければ、思うようにはならない。製造業や農業などの地元の基盤産業の育成と、小売り等サービス業の非基盤産業を分けて考え、対策を示す必要がありそうだ。また、地元に職はあるが、職を求めて若者が出て行ってしまう、と嘆く自治体もあるが、若い労働者は、一定レベルの賃金と希望を求めているのだ。従って労働の供給曲線は、価格Pの一定レベルの水準で垂直になり、需要側(雇用側)とここでミスマッチが起こる。従って職はあるが、若者が希望する有効な職は無いのだ。

 

 ここで地方創生3要素の解決策として提案したいことが1つある。それは外国人の活用である。外国人を活用した英語を話せる町を真剣に目指すのである。何もない自然豊かな、と言っても日本人は観光には来ない。外国人は異文化を感じに来る観光の理由がある。ジャマイカから英語教師を呼び、小・中学校の英会話教育を促進しよう。町も英語圏のような町に仕立て上げよう。そして、タイ、中国、台湾など東南アジアの人々に観光に来てもらおう。

 

日本の人口減少はむしろここから加速度的に減少する。日本人を念頭においての地方創生では、何年経っても解は見えて来ない。

6674 GSユアサ

どちらだったか忘れたが、三菱銀行が主力行であった。それは湯浅電池と日本電池の話である。2004年に統合されたGSユアサは、世間では三菱系に強いと思われていた。従って三菱自動車が燃費問題で不祥事を起こした時、株価は連れ安してしまったのだ。2013年にはボーイング787で電気系統の不具合が見つかり、バッテリーの出火事故を起こした。当時、電力変換システムに搭載されるリチウムイオン電池を受注していた同社は、数百億円規模の長期供給契約を交わしていたものの、株価は失望売りが止まらず一段と下落した苦い経験がある。


2次電池はハイテク化、開発が進んでいないと言われている。それは電気を貯めることがそもそもむづかしいからだ。だから自動車やバイクのバッテリーは未だに鉛蓄電池が使われているし、ニッケル水素電池もそれほど普及した記憶はない。リチウムイオン電池は当初より発熱・発火が問題視され、ICを組み込んで制御しているが、他に代替品が開発されていないので、電気自動車の主力バッテリーとして今後が期待されているのだろう。


昨年まで唯一赤字セクターであった同社のリチウムイオン電池事業は、今季黒字化しそうだ。コスト削減が進み採算性は前3Qから改善が見られる。同社をカバーするアナリストからも安心するコメントが聞かれるようになって来た。
さてボーイング787問題や、三菱自動車問題で売られていた同社の株価は、400円割れを底にしてじわじわと上昇してきている。注目される材料は今後の電気自動車の普及と、業績、特に車載用リチウムイオン電池事業の黒字化だ。今期は減収減益予想だが、この部門の黒字化により一転増益で着地することが期待される。度重なる悪材料によって売られていたところに買いチャンスがある。

4733 OBC

 

営業利益率41%。なぜそんなに儲かるのか。それは販売パートナー3,000社、エンドユーザー56万社を囲い込んだ事業の仕組みに隠されている。顧客は中小企業、とはいってもパパママストアのようなところが多い。経理、総務用のいわゆる会計ソフトの商品開発は、PCのOSの進化や税制改革、制度改革等に合わせ常に更新、バージョンアップ対応として行われている。しかし、それは莫大な研究開発費や投資が必要なものとは思えない。要するに、中小企業の会計ソフト市場をすでに押さえ販売の仕組みを構築してしまったこと、開発コストがそれほどかからないこと、そしてOSのバージョンアップ等によって需要が定期的に喚起されること、がこの利益率を生み出す根源だ。

 

元々会計士だった和田社長は、非常に温和な性格だが、ビジネスには野心的である。パッケージソフトから始まったビジネスモデルは、クラウドサービスへ。そして現在は会計ソフトのフロービジネスへと改革を急いでいる。それは、一方でパッケージソフトの普及期がすでに終了し、これまでの同社のビジネスモデルを変えていかないとシュリンクが止まらないことも意味している。保守・メンテナンスサービスの比率をどれくらい上げられるのか、今後の生き残りをかけた経営戦略の注目点だ。

 

同社の時価総額は約2,200億円だが、現預金は760億円、投資有価証券は290億円ある。まとまった設備投資が必要のないソフト会社なので、全て余裕資金と見られる。投資有価証券は、有価証券報告書を見るとリートが主な投資先で、毎期この含み資産を小出しに吐き出すことで、営業外利益をコントロールしている。まさに理想的な財務戦略が絵に描いたように実践されている。利益剰余金630億円は、毎期40億円~60億円が積み上がり、配当原資は余裕が有り過ぎだろう。積極的なM&Aはどちらかというと苦手なため投資先が見つからず、市場から株主還元の圧力が更に高まることを会社は恐れている。どこかで買いたい銘柄の一つだ。