企業の開示情報を頼りに株式投資

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営業利益率41%。なぜそんなに儲かるのか。それは販売パートナー3,000社、エンドユーザー56万社を囲い込んだ事業の仕組みに隠されている。顧客は中小企業、とはいってもパパママストアのようなところが多い。経理、総務用のいわゆる会計ソフトの商品開発は、PCのOSの進化や税制改革、制度改革等に合わせ常に更新、バージョンアップ対応として行われている。しかし、それは莫大な研究開発費や投資が必要なものとは思えない。要するに、中小企業の会計ソフト市場をすでに押さえ販売の仕組みを構築してしまったこと、開発コストがそれほどかからないこと、そしてOSのバージョンアップ等によって需要が定期的に喚起されること、がこの利益率を生み出す根源だ。

 

元々会計士だった和田社長は、非常に温和な性格だが、ビジネスには野心的である。パッケージソフトから始まったビジネスモデルは、クラウドサービスへ。そして現在は会計ソフトのフロービジネスへと改革を急いでいる。それは、一方でパッケージソフトの普及期がすでに終了し、これまでの同社のビジネスモデルを変えていかないとシュリンクが止まらないことも意味している。保守・メンテナンスサービスの比率をどれくらい上げられるのか、今後の生き残りをかけた経営戦略の注目点だ。

 

同社の時価総額は約2,200億円だが、現預金は760億円、投資有価証券は290億円ある。まとまった設備投資が必要のないソフト会社なので、全て余裕資金と見られる。投資有価証券は、有価証券報告書を見るとリートが主な投資先で、毎期この含み資産を小出しに吐き出すことで、営業外利益をコントロールしている。まさに理想的な財務戦略が絵に描いたように実践されている。利益剰余金630億円は、毎期40億円~60億円が積み上がり、配当原資は余裕が有り過ぎだろう。積極的なM&Aはどちらかというと苦手なため投資先が見つからず、市場から株主還元の圧力が更に高まることを会社は恐れている。どこかで買いたい銘柄の一つだ。