企業の開示情報を頼りに株式投資

6674 GSユアサ

どちらだったか忘れたが、三菱銀行が主力行であった。それは湯浅電池と日本電池の話である。2004年に統合されたGSユアサは、世間では三菱系に強いと思われていた。従って三菱自動車が燃費問題で不祥事を起こした時、株価は連れ安してしまったのだ。2013年にはボーイング787で電気系統の不具合が見つかり、バッテリーの出火事故を起こした。当時、電力変換システムに搭載されるリチウムイオン電池を受注していた同社は、数百億円規模の長期供給契約を交わしていたものの、株価は失望売りが止まらず一段と下落した苦い経験がある。


2次電池はハイテク化、開発が進んでいないと言われている。それは電気を貯めることがそもそもむづかしいからだ。だから自動車やバイクのバッテリーは未だに鉛蓄電池が使われているし、ニッケル水素電池もそれほど普及した記憶はない。リチウムイオン電池は当初より発熱・発火が問題視され、ICを組み込んで制御しているが、他に代替品が開発されていないので、電気自動車の主力バッテリーとして今後が期待されているのだろう。


昨年まで唯一赤字セクターであった同社のリチウムイオン電池事業は、今季黒字化しそうだ。コスト削減が進み採算性は前3Qから改善が見られる。同社をカバーするアナリストからも安心するコメントが聞かれるようになって来た。
さてボーイング787問題や、三菱自動車問題で売られていた同社の株価は、400円割れを底にしてじわじわと上昇してきている。注目される材料は今後の電気自動車の普及と、業績、特に車載用リチウムイオン電池事業の黒字化だ。今期は減収減益予想だが、この部門の黒字化により一転増益で着地することが期待される。度重なる悪材料によって売られていたところに買いチャンスがある。

4733 OBC

 

営業利益率41%。なぜそんなに儲かるのか。それは販売パートナー3,000社、エンドユーザー56万社を囲い込んだ事業の仕組みに隠されている。顧客は中小企業、とはいってもパパママストアのようなところが多い。経理、総務用のいわゆる会計ソフトの商品開発は、PCのOSの進化や税制改革、制度改革等に合わせ常に更新、バージョンアップ対応として行われている。しかし、それは莫大な研究開発費や投資が必要なものとは思えない。要するに、中小企業の会計ソフト市場をすでに押さえ販売の仕組みを構築してしまったこと、開発コストがそれほどかからないこと、そしてOSのバージョンアップ等によって需要が定期的に喚起されること、がこの利益率を生み出す根源だ。

 

元々会計士だった和田社長は、非常に温和な性格だが、ビジネスには野心的である。パッケージソフトから始まったビジネスモデルは、クラウドサービスへ。そして現在は会計ソフトのフロービジネスへと改革を急いでいる。それは、一方でパッケージソフトの普及期がすでに終了し、これまでの同社のビジネスモデルを変えていかないとシュリンクが止まらないことも意味している。保守・メンテナンスサービスの比率をどれくらい上げられるのか、今後の生き残りをかけた経営戦略の注目点だ。

 

同社の時価総額は約2,200億円だが、現預金は760億円、投資有価証券は290億円ある。まとまった設備投資が必要のないソフト会社なので、全て余裕資金と見られる。投資有価証券は、有価証券報告書を見るとリートが主な投資先で、毎期この含み資産を小出しに吐き出すことで、営業外利益をコントロールしている。まさに理想的な財務戦略が絵に描いたように実践されている。利益剰余金630億円は、毎期40億円~60億円が積み上がり、配当原資は余裕が有り過ぎだろう。積極的なM&Aはどちらかというと苦手なため投資先が見つからず、市場から株主還元の圧力が更に高まることを会社は恐れている。どこかで買いたい銘柄の一つだ。

8818 京阪ビルディング

こんな会社があったのか!注目されるのは営業利益率40%。そして内部留保350億円の凄さだ。それだけではない。この会社、たった43人の人員しかいない究極のエリート会社だ。不動産業とはいえ、馬券売り場ウインズビルやデータセンターなどを有し、超優良顧客を囲い込んでいる。他に商業施設や物流センター等もあり、稼働率は極めて高い。逆に言うと空室率は低く、これがバカげた利益率を実現させる原点だ。


そもそもこの会社の「ルーツは」というと、阪神競馬場に辿り着く。関西の有力な馬主と地元経済界をバックに設立された。大阪の中心地や主要な場所には古くから同社のオフィスビルが存在感を示し、好立地、高機能がこの会社のキーコンセプトとなっている。


もちろん今の経営陣は、関西経済界を支える旧住友銀行出身者で占められている。安定した業績を続ける理由は物件だけにとどまらず、ここにもある。
毎年計上される約30億円の純利益は、あらたな投資先が無ければ利益剰余金として留保される。最近は低金利が追い風になっている一方不動産価格は上昇しており、なかなか採算に合う物件は手に入り難い。関西地区だけでなく関東地区に進出するという経営戦略に立ちはだかるやっかいな問題だ。かといって優良投資案件が無ければ内部留保は着実に積み上がる。嬉しい悲鳴だ。毎年増配、それが現実となっている。PER11倍、PBR0.6倍とは呆れた数字だ。市場の非効率性が読み取れる。明らかに評価不足だろう。